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生殖機能に器質的な疾患がある方 子宮筋腫、子宮内膜症、排卵障害、黄体機能不全、無排卵、 高プロラクチン血症、卵管障害(癒着、詰まり)など
子宮筋腫、子宮内膜症
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子宮筋腫は、子宮筋腫子宮の筋肉層にできる良性の腫瘍です。 子宮内膜症は、子宮の内側にある内膜の組織が、子宮以外のところで増えていく、進行性の病気です。
ともに、ホルモン分泌の盛んな20~40代の女性に多く発生します。無症状であれば経過観察のみの場合も多いのですが、筋腫や内膜症があることによって不妊や流産につながる場合も多々あります。 西洋医学の治療は、「ホルモン治療で強制的に閉経後(もしくは妊娠時)と同じ状態を作り、症状や進行を抑える」もしくは「手術」などの方法をとります。筋腫が邪魔をして受精卵が着床できない場合は、西洋医学の治療がメインとなり、漢方薬は補佐的な役割を担います。
偽閉経治療の場合は、効果を持続させつつ、妊娠しやすい身体作りを目指して処方を出します。手術の場合は、手術しても再発する可能性が高いため、再発しにくい身体作りと共に、妊娠しやすい身体作りを目指して処方を出します。
排卵障害、黄体機能不全、無排卵
十分成熟して排卵される為には脳や子宮から分泌されるホルモン物質の助けが必要不可欠です。
ホルモンの分泌の異常により卵が成熟しない、育っても排卵しない状態です。
現に排卵障害は不妊症の原因の15~25%を占めていると言われています。
原因が様々でその原因よって対策が異なってきます。
高プロラクチン血症
プロラクチンは脳下垂体から分泌される母乳の分泌を促すホルモンです。
授乳中は、母体のためにすぐ妊娠しないような身体の状態になり排卵や生理を抑えようとする作用があります。
このため、授乳中でないのにプロラクチンが高いと妊娠しにくくなります。
高プロラクチン血症になると、生理が不順になったり、生理が来なくなったりします。
排卵や卵胞の成熟を抑える作用があるため、黄体機能不全や排卵障害、着床障害を引き起こし、不妊症や流産を繰り返す原因にもなります。
漢方での対処方法
子宮筋腫・子宮内膜症・排卵障害・
黄体機能不全・無排卵・高プロラクチン血症の対処方法
- 血の質を良くし、増やし、血の巡りを良くする
- 冷えの改善
- ホルモンバランスを整える。
- 生殖系を含めた体全体を作る源の脾胃(胃腸)の機能を高める。
- 体の代謝を上げ本来体に不必要なものを取り去る。
- 子宮内膜を整え、分泌機能を改善する。
- 黄体機能を回復、卵胞の質を改善。
- 卵巣の循環を良くし、卵胞の発育と排卵を促進する。
- ストレスの軽減。
- 子宮頚粘液を改善し精子を通りやすくする。
- 器質的な問題があることで起こる生理の乱れ、生理痛、PMS、
- 不正出血、貧血、動悸、めまい、頻尿、便秘等の改善
※ あなたの身体全体の状態を見ながら、漢方薬をお出し致します。
それにより、子宮内膜、ひいては身体全体を整え、妊娠しやすい身体を作っていきます。
卵管障害(癒着、詰まり)
卵管の癒着や詰まり等は一般に、クラミジア等の性感染症や子宮内膜症によることが殆どですが、生まれ持って卵管が狭い場合もあります。
卵管に障害があると、精子が卵子にたどり着けないため、 自然妊娠することが非常に難しくなってきます。
癒着をはがす外科的手術も行われますが、癒着が強固な場合や、手術してもまた癒着してしまう場合は体外受精や顕微受精にて治療をする事となります。
漢方で考えられている卵管が詰まる原因
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体内にたまり過ぎた不要な「水」と「熱」が、
気や血の巡りを邪魔して、不調を起こしている状態 - 気(人間を生かしてるエネルギー)がスムーズに流れない状態
- 血の質が悪く、巡りも悪く滞っている状態
あなたの体質を見ながら対処していきます。完全に卵管が詰まっている卵管閉塞の場合を除き、詰まりの程度にもよりますが、漢方によって改善または、予防することが出来ます。
成功した不妊治療の実例
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子宮内膜症の症例
- 30代前半
- 女性
妊娠経験なし。
既往歴 子宮内膜症 子宮と膀胱の間に腫瘍あり
産婦人科にて生理を止めるホルモン剤を服用、今後、手術にて腫瘍を取る必要があると医師に言われている。子宮と膀胱の間に腫瘍がある為か、生理3日前から下腹部にひっぱられる痛み、尿道の奥にシカっとした痛みがある。検査しても尿道炎や膀胱炎などではない。 年中冷たい飲み物を好む。
生理28日周期、生理痛あり、生理前症候は排尿痛と腰痛。古い血を出し、新しく良い血と体に不足している栄養を増やし、かつ精神を落ち着かせる総合的な漢方薬。半年後に3センチだった腫瘍の大きさが半分に。かつ色が黒から肌色に変化した。生理前の排尿痛が気にならなくなった。
生理を止めるホルモン剤の服用が最終段階に入った頃、古い血を出す漢方をメインに服用し2か月、少し遅れて生理が来た。腫瘍の手術は生理前の排尿痛が軽くなった為、するかしないかを検討していた矢先に妊娠発覚。年賀状にて出産の報告あり。 -
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症例
- 20代後半
- 女性
結婚5年間、妊娠なし。仕事のストレスから体重が大幅に増えた。
生理が何ヶ月も来ず、産婦人科に行った所、多嚢胞性卵巣症候群と診断された。長期間クロミッドを服用し生理が来るようにはなったが、妊娠せず。ご主人の精子の運動率が悪い。
生理─ 3~4日 出血少ない 生理痛あり 遅れ気味。
冷え性、むくみやすい。肩こりあり。花粉症女性 ─ お血を取り、血の巡りを良くし、子宮の状態を良くし、ホルモンバランスを整える漢方薬。
男性 ─ 体力を付け、身体を温め、血の巡りを良くする生薬を処方。約二週間服用後、体が温まっており、高温期がはっきり出てきた。
若干、生理前に腹痛があったが生理も遅れることなくスムーズに来た。
便通も良くなった。体が軽く動きやすい。
約数週後、妊娠が判明。
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子宮筋腫 排卵障害の症例
- 30代後半
- 女性
結婚して12年以上たつが、一度も妊娠しなかった。
産婦人科でホルモン治療中。プロラクチンが多く、医師から子宮筋腫と排卵障害でなかなか排卵しないと言われる。基礎体温バラバラ。冷えや立ちくらみあり。冷たいものを食べるとたまに下痢をする。敏感肌。アトピー体質。風邪をひきやすい。生理痛がある。① お血を取り、血の巡りを良くし、ホルモンバランスを整える漢方薬。
② ①の漢方薬をベースに、冷え、特に手足の血行を良くし温める漢方薬。
③ 妊娠中の養生薬であり、安産のための漢方薬。① 二ヶ月─生理の血の量が増えた。生理の時、痛みが楽だった。 寒くなってきたせいか、手が荒れてきた。冷えは以前ほどなくなった。
② その約二ヶ月後、初めて妊娠したが、出血があり流産してしまったが、お血を取り除く漢方薬を増やしたところ、一ヶ月後に生理が来て体調が良くなってきた。
その一ヶ月半後─日常生活において、全体的に体調が良くなった。
それから三ヶ月半後、妊娠反応が出る。
③ 流産予防のため服用。子供のアトピーが心配なので、どくだみ茶も併用。その後、子供を無事出産。産後ケアのため二ヶ月間服用後、飲んでいると体調が良いということで①をずっと服用中。