目次
漢方での不妊症・不育症の考え
不妊相談で多いお悩みの声
漢方薬が有効な症状例
不妊症の治療において、まず始めに必要なことは、母体を新しい生命を育み得るだけの余力を持った健康な体に仕上げる事です。
例えば、慢性の持病のある方、子宮に器質的問題のある方、胃腸の弱い方、肥満の方、痩せすぎた方、精神的に不安がある、ストレス過多の方など、まずそれらを治し、身体を整える必要があります。 肥満の方は、瘀血、気滞、水毒、熱を帯びてる方が多く、痩せている方は血虚、冷え症、気虚が多く見られいずれも妊娠しにくくなります。
原因となるものを是正し、過剰なものは取り除き、不足しているものは補う。 つまり母体になる為の身体を整えることからスタートします。
不妊症には大きく4つに別けられる
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医学的には普通に性生活が行われていて、2年以上一度も妊娠しない場合を不妊症と言います。このような場合を原発性不妊症と言います。
出産経験を経て、授乳終了から2年以上次の妊娠が出来ない場合を続発性不妊症と言います。俗に「二人目不妊症」とも言います。
習慣性流産とは妊娠に至っても3回以上自然流産を繰り返すものと定義されます。
不育症はしばしば同意語として扱われますが、もう少し広い概念で、反復して妊娠するがその妊娠を完遂できず流産・早産死などで健常な生児に恵まれない状態を指します。
不妊症、不育症の場合は夫婦揃って産婦人科の専門的な検査を受けた方が良いでしょう。男性が原因の不妊も多数あります。
最近では、橋本病、バセドウ病などの甲状腺の病気が原因による不妊症、不育症も多くなっています。疲れやすい、動悸、息切れ、発汗、下半身の冷え、むくみなどのある方は一度甲状腺ホルモンの検査をされると良いでしょう。
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- 原発性不妊症
- 普通に性生活が行われているにもかかわらず、 2年以上一度も妊娠しない場合
- 続発性不妊症
- 出産経験を経て、授乳終了から2年以上次の妊娠が出来ない場合
- 習慣性流産
- 妊娠に至っても3回以上自然流産を繰り返す場合
- 不育症
- 反復して妊娠するがその妊娠を完遂できず流産・早産死などで健常な生児に恵まれない状態
東洋医学からみた女性の不妊症の原因
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東洋医学からみた女性の不妊症の原因の7割は貧血、冷え、胃腸虚弱、2割が瘀血、1割はその他と言われています。そのため、冷えや貧血の改善の漢方薬が基盤となります。
精子と卵子が結合する卵管や、赤ちゃんが約10ケ月過ごす子宮は、ゆったりとして暖かいベッドの中のような状態でなければなりません。
新陳代謝も活発に行われなくてはいけないので、血液もたくさん必要になってきます。また、現代ではストレスも大きな原因になっています。「子供が欲しいのに出来ない」「周囲からのプレッシャー」「生理が来るたび落ち込む」「赤ちゃんを見るとつらい」など、不妊の人が抱えるストレスは大きいものです。このストレスがさらに妊娠の妨げになる悪循環に陥りやすくなります。
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- 不妊症原因の割合
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※ボタンをクリックすると各原因の詳細な説明をご覧いただけます。
- 貧血・冷え
- 胃腸虚弱
- 瘀血(おけつ)
漢方はどのように処方されるの?
漢方では、女性の不妊治療は、妊娠しやすい母体、流産しにくい母体を作ることを目指します。 不妊症といっても、人それぞれに原因が違い、また、単一ではなく色々な要素が絡んでいることが殆どです。 従いまして、西洋医学のようにこの症状にはこの薬と、決まった不妊治療薬が出るわけでなく、生理などの状態や状況、体質、体調などによって一人一人使う薬が違ってきます。(同病異治)
肝・心・脾・肺・腎の五臓における気・血・津液(水)・精の不均衡を改善し、合わせて生理を整える事を考えます。証に照らし合わせた随証治療によって漢方薬を決めます。(詳しくは…漢方とは?)
病院で処方された不妊治療薬は、目的を定めてピンポイントで作用しますが、体調が悪くなるなど副作用が出やすいのに対し、漢方薬は身体全体を根本から整えますので、飲み続けていると体調が良くなる方が多いです。
不妊症・不育症に対して漢方が出来る事
- 生理を整える(不順、生理痛、血の塊、PMS、不正出血、貧血、動悸等を改善する)
- 血の質を良くする
- 子宮・卵巣・膀胱・小腸・大腸等の血液循環を良くする
- 子宮内膜を厚くする 状態を良くする
- ホルモンバランスを整える
- 自力でホルモンが分泌できるよう体質改善する
- 冷えを改善する
- ストレスの軽減 「心(気)」をリラックスさせる
- 体の中の余分な水分を出し、解毒する
- 質の良い卵を作る体作り
- 体質改善し、卵巣機能の「若返り」「老化予防」
- 流産予防
- 安胎作用
漢方薬の出し方と服用期間
漢方薬の服用期間は、その方の不妊の原因によります。 少し背中を押す漢方薬だけで身体が整う方は、短期間で妊娠に至りますし、複雑な要因が多数からんでいる方や、長期の不妊治療薬の服用により身体のバランスを著しく崩していたり、高齢であったりする場合は、ゆっくり身体のひずみを整えるため、治療に時間がかかることが多いです。
最初は1ヶ月お飲み頂き、生理の周期や状態、体調、西洋の不妊治療をしている方は治療の段階・結果を見ながら調整していきます。
周期に関係なく一つの処方を飲み続けた方(パターン①:根本治療)が効果的な方と、低温期、高温期、月経期といったそれぞれの時期に合わせて薬を調節する方法(パターン②③:周期療法)が効果的な方がいらっしゃいます。 また、冷えや瘀血など体の問題点がある程度改善され、基礎体温も整ってきたら周期療法に移る場合もあります。高度不妊治療中の方は、採卵・移植などのタイミングにあった漢方が必要になる方もいらっしゃいます。
その方の体質やその時の状況、不妊の原因を見極め、それぞれに合った方針と処方を提案致します。
妊娠までの身体の周期と処方パターン例
*この処方パターン例はあくまでも例です。
その方の体調や、飲みはじめた変化、病院での治療内容、結果などによって、出す薬は変わってきます。漢方薬はその人それぞれの状況に合わせ、きめ細かく対応できます。
古典漢方からみた不妊症
大昔には現代のような医療もなかったため、漢方薬には妊娠、分娩にまつわる処方が多くあります。漢方薬は2000年以上も昔から妊娠にまつわる研究がされ、有効性と安全性の高いものだけが生き残ってきました。
時代や食生活が移り変わって行く中で、人間の軸になる根本は変わりません。 本草閣では、長年伝えられてきた漢方薬をベースに現代日本人に適した漢方薬をお出しすることで、より子宝に恵まれる事に近づくと考えております。
女性の不妊症は、生理の調節が一番大切です。
不妊症の治療において、まず始めに必要なことは、母体を新しい生命を育み得るだけの余力を持った健康な体に仕上げる事です。
例えば、慢性の持病のある方、子宮に器質的問題のある方、胃腸の弱い方、肥満の方、痩せすぎた方、精神的に不安がある、ストレス過多の方など、まずそれらを治し、身体を整える必要があります。
肥満の方は、瘀血、気滞、水毒、熱を帯びてる方が多く、痩せている方は血虚、冷え症、気虚が多く見られいずれも妊娠しにくくなります。
原因となるものを是正し、過剰なものは取り除き、不足しているものは補う。 つまり母体になる為の身体を整えることからスタートします。
また、子宮内膜症や子宮筋腫、高プロラクチン血症、など器質的原因のある方は、瘀血症状があると言えます。 瘀血とは、体外へ排出されているべき不必要な血が体内に残留し、それが悪さをする事で、上記の様な疾患に繋がります。 その瘀血を取り除き、体を整える事を第一の目標とします。
年齢と成長・老化過程(素問・上古天真論)
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女子の周期(7の倍数)
7才 永久歯が生え、髪の毛が伸びる。 14才 天癸至り、妊脈通じ太衝の脈盛にして、月経がはじまる。故に子供が産める 21才 腎気が充実し、知歯が生える。身長が伸びる。 28才ピーク! 骨格がしっかりして、毛髪の伸びも極まる。身体が一番充実する。 35才 胃腸の働きが衰え、顔にしわが生じ、抜け毛が始まる。 42才 顔の老化が進み、白髪ができ始める。 49才 天癸つき、生理が止まる。 -
男子の周期(8の倍数)
8才 腎気が実し、髪の毛が伸び、永久歯が生える。 16才 腎気盛んになり、天癸至り、生殖能力がそなわる。 24才 筋骨がしっかりして、知歯が生える。身長も最長になる。 32才ピーク! 筋骨充実して、身体が一番強壮になる。 40才 腎気衰え、頭髪が抜けて歯がやせて顔の艶がなくなる。 48才 顔面がやつれ、髪やひげが白くなりはじめる。 56才 肝気衰え、天癸つき、精力も減少、身体全体が老化する。 64才 歯が抜け、頭髪も抜け落ちてしまう。
男女とも生殖能力には、腎・肝・脾の働きが関係している。(腎・肝・脾(五臓)とは?)
女子のピークは28才、男性のピークは32才である。
古典より
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つまり、男は腎精を補い、女は肝血を補い月経を調節することが大切。
虚の人は補い、実の人は瀉し、痩せている人は太るようにし、肥満の人は痩せる。 疲労を改善し、精神的にも安定した状態にする、という事です。