目次
漢方とは?
西洋薬と漢方薬の違い
漢方とは?
4つの重要な「漢方医学的な物差し」
西洋薬と漢方薬の違い
何で出来ているの? 由来は?
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西洋薬
人類の長い歴史の中で身近な天然物(生薬)が薬として使われてきました。 そうした生薬中の有効成分を取り出し、科学的な手を加えたものが西洋薬です。
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漢方薬
各原料の薬効を引き出しつつ、保存性に優れるように、乾燥、蒸す、切断、破砕、などの簡単な加工・調整を施したものが「生薬」です。漢方薬はこれら生薬を複数組み合せて作られます。
漢方はここがすごい!
この組み合わせは、効能や安全性に関する長い経験に基づいており、中国で数千年かけて研究された結果です。 日本に導入されたのは5~6世紀頃の古墳時代。 日本の風土、気候や日本人の体質に合うように研究され、独自の発展を今も遂げています。
基本的な考えは?
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西洋薬
- 病名をつけて治療することが目的
- 病気の根源を細分化して徹底的に検査・究明
- 薬を用いて病原を攻撃、もしくは病巣を切除
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漢方薬
- 病名が決まらなくても、
「証(しょう)」に基づき治療。 - 病気を治すのではなく病人を治療。
- 人が本来持つ病気と闘い治す力(免疫力)を高めて 悪いものを追い出し、身体を整える事を基本とする。
- 病名が決まらなくても、
それぞれの特徴は?
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西洋薬
病気の原因に
ピンポイントに働きかけて治す西洋医学は、血液検査データやMRI・CT画像(等)にて病名を決定し、病名別にマニュアルに沿った治療を行う医療です。
西洋医学は従来の東洋医学では治らなかった病気を克服し、多くの命を救ってきました。 しかし、西洋医学の「病名」を診る医療では、原因不明の病、病名の付かない病、または精神的要素が関係する疾患については不得意であるといえます。
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漢方薬
身体全体を元気にしてその結果原因となる部分を治す。
東洋医学は「病名」を診る前に「個人」を診る 医療です。
そこで大切なのが「証」と言う概念で患者一人ひとり異なる心と体の状態や病態を総合的に診断します。病名に関係なく、時には病名を無視して病人の状態や精神的な状態を総合的に診る治療です。
得意分野は? 効き目は?
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西洋薬
有効成分が単一で切れ味が鋭く即効性があるため、感染症の菌を殺す、熱や痛みを取る、血圧を下げる等といった1つの症状や病気に対する直接的な治療に適しています。 病気の原因が明確に分かっている場合に非常に効果的です。
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漢方薬
いくつもの生薬が相互に作用します。時代と共に生活習慣病や免疫異常による気管支喘息、アレルギー疾患、婦人病、心身症、ストレス症、高齢化による病、病名のつかない病など複雑な病が増えてきました。 このような西洋医学では十分対応しきれない複雑な病やいくつもの症状を抱えている方にも漢方薬は有効であるといえます。
漢方薬にも即効性のある薬があります
なお、漢方薬の中には即効性のある対処療法用の処方もあります。
副作用も殆どなく、症状を軽減してくれるため、うまく活用すると便利です。
漢方薬が有効な症状例
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慢性の病(根本治療)
- 虚弱体質、疲れやすい、免疫力の低下
- アレルギー疾患
- ストレス性疾患
- 女性特有の病気
- 循環器の病
- 便秘、下痢、ひん尿、尿漏れ 等
- 西洋医学で治療されにくい病
- 不定愁訴
- 愁訴の多い病態、体のあちこちに不具合
- 難病
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即効性のある漢方薬(対処療法)
- 風邪(悪寒、熱、鼻水、鼻づまりなど)
- 花粉症による症状
- 筋肉痛、足のつり
- しゃっくり
- 膀胱炎、口内炎、急性の胃炎 など
※項目にポイントを置くと各説明がご覧頂けます
あくまで一例です。
その他の症状については症例集をご覧ください。または当薬局の薬剤師にご相談ください。
薬の決め方の違いは?
西洋医学での薬の決め方
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診断された病名に基づいて薬を決める。
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- 例
- 風邪には風邪薬、鼻水には鼻水止め
西洋医学での薬の決め方
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症状と共に一人一人の体質、体力、生活習慣、心の状態を見極め、それに応じて処方を決める。
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- 例
- 同じ風邪でも、「証」にあわせて処方するため、人によって薬が異なる。「同病異治」 「同病異治」
※ボタンにマウスポインタを置くと画像が表示されます。
「同病異治」と「異病同治」という考え方
漢方薬はひとりひとりの体質や症状を見極めながら、最適な漢方薬を使い分けていく、
いわゆる「オーダーメイド」の治療といえます。
「異病同治」 ひとつの薬が色々な病気に応用される。という特徴があります。
「同病異治」 同じ病気でも患者さんの状態によって飲む薬が異なる。
「証」って何?
四診から得た情報を収集、統合し、患者が表している病状や所見を
下記の8つのような漢方医学的な物差しで「証」を決定します。
西洋医学のように病気をみるのではなく、個々の体調、もともとの体質、体力、抵抗力、 病態、なぜそうなったかの病因などを総合的に分析して判断します。
漢方では「証」に合った漢方薬が処方されます。
したがって、同じ症状でも、自分の「証」と他の人の「証」が違えば、当然、処方される漢方薬も違ってきます。
漢方では「証」が、と〜っても大切!
漢方では特にこの「証」を重要視しており、現代医学で病名がつかなくても治療が可能です。 「証」をどのように導き出すかで、漢方専門家の腕が分かります。