1830年創業 和薬・漢方 本草閣 名古屋鶴舞

妊娠中の症状を和らげる漢方

妊娠中に薬を飲んでも大丈夫?

薬って、妊娠中に飲んでも(服用しても)大丈夫なの…?
そう不安になる方も少なくないはず。

漢方薬には、「安胎薬」というその名の通り「胎児を安定させるための処方」があり、2千年にわたり数々の女性の悩みを解決してきた歴史があります。妊娠中に漢方薬を飲み続けると流産を予防し、安産になり、子供も元気で産後の肥立ちも良いといわれています。

妊娠中でも漢方を服用する事は安全であると歴史が証明しており、現在、漢方の本草閣でも多くの妊婦さんに漢方をお出ししております。 一般的に使用されるものは、前述の通り、安胎剤といわれるもので、妊婦の体を温め、血行不良を改善し、母体と胎児の生理活性を活発にします。いわば安産の特効薬です。

その他にも、妊娠中は人によってつわりや便秘、貧血、高血圧など様々な症状が出ます。各妊婦さんの気になる症状一つ一つに対処する漢方薬もたくさんありますので、「妊娠中だからしょうがない…」と我慢せず、お気軽にご相談にいらしてください。

順調で穏やかな妊娠生活のお手伝いを漢方薬でサポートさせていただきます。

漢方における妊娠の考え方と基本的な治療方針

漢方における妊娠の考え方と基本的な治療方針

妊娠し、それを継続できるという事は、自分以外の人間を体内に宿し、それを継続する事が可能な健康な体であると言うことです。漢方では、妊娠を生殖器のみの働きとは考えずに、体全体で妊娠という大きな仕事を支えていると考えています。

つまり、体全体を見て整えることで妊娠を正常にし、継続して行きます。妊娠後の養生だけでなく、妊娠前の食生活を含む養生は健康な体を作り、健康な妊娠へと繋がります。

漢方でいう健康とは、心身ともに健康であることを指し、気血水・五臓六腑・寒熱などがバランスを取れていることを言います。 しかし、妊娠により、自分だけに使用していた栄養(気血水)が胎児に供給される事となりますので、体力がある方でも様々な不調が起こります。 また、体力が無い、または、体のバランスが悪い方などはその不調が増える傾向があり、妊娠を継続する事が難しくなったりする事もあります。

人それぞれ、体にも心にも個性があります。 漢方では、妊娠により不足した気血水や、弱ったり過剰になった器官を助ける事で妊娠を継続させ、且つ元気な子を出産出来るようにお手伝いいたします。 また、産後の回復を早くします。

気持ち悪い…つわりや食欲不振を改善する

気持ち悪い…つわりや食欲不振を改善する

漢方では、つわりになる原因に、以下のような考え方があります。

  • 脾虚(胃腸が弱い) 胃腸の弱い方と言う意味。
    もともと油っこいものが苦手であったり、食が細かったり、すぐに体調変化が胃腸に出る様な方は脾虚であると言いえます。
  • 胃熱(胃酸が出る) 胃に熱がこもっている状態。
    げっぷや胃酸過多、胃酸が上がってきたりと胃の不快感を生じます。
    妊娠時、空腹時に胃酸が出て胃がムカムカしたり、もともと、非妊娠時には胃腸が強く、なんでも食べられる体質である為に身体に熱を持ちやすかったり、逆に脾虚である為に胃の中の食物を腸へうまく送れずに熱と化してしまう場合もこの胃熱と考えられます。
  • 水滞(水分代謝が悪い、むくみやすい、) 体内に余分な水が溜まっている状態。
    胃がぽちゃぽちゃしたり、浮腫みやすかったり、眩暈が生じやすかったり、車酔いなどをしやすい方が水毒と考えられます。

漢方の本草閣では、①の脾虚や③の水毒の体質のつわりの方には、胃の水はけを改善する半夏や茯苓を含み、且つ胃を健康にする生姜で構成される漢方処方を初めにお勧めいたします。

この処方は、服用時に、生姜では無く生の生姜をすりおろして服用するとより効果的です。 ただ、つわりの最中ですので香りや刺激のある生姜に反応する事もありますので、そういった方には、温めて服用するのではなく冷まして香りなどが立たなくなったら服用して頂く事をお勧めします。

また、②の胃熱の体質の場合、胃の熱を取る黄連とオウゴン、かつ胃の吐き気を抑える半夏が配合された処方をお出しします。食べつわりやゲップ、胃酸過多の違和感やムカムカ感のあるつわりに有効です。

またつわりに加えて気分が落ち着かずにイライラしたり、不安になったりする方には、蘇葉と厚朴と言った気を巡らす生薬の入った漢方処方も効果的です。

便秘や痔は漢方で優しくケア

辛い便秘…

妊娠中は、ホルモンで左右されることが多いです。
妊娠中に出ている黄体ホルモンは、腸の活動を弱くしますし、つわりによる食事変化、ストレス、眠気やお腹が大きく為る事による運動不足などが考えられます。

西洋薬の便秘薬は、腸を冷やして排便を施す薬が多い為、妊娠初期には不向きの薬が多いですが、漢方の便秘薬は、個々の体質に合わせますのでまさに三者三様です。 冷え性でなく、逆に熱が体内に溜まっている方は、腸の熱をとることで、排便へ導きます。 暖めて排便へ向かったり、良い血を増やして血液循環を良くしお腹を温めて排便へ導いたり、便の水分を増やして出しやすくしたりとその方の体質や症状により多岐に及びます。

漢方の本草閣では、妊娠中にも安心して服用出来る下剤をたくさんご用意しております。

妊婦さんが便秘薬を使う際は、漢方薬であっても注意が必要なものがあります。必ず薬剤師にご相談ください。薬草茶としては腸を潤す「ケツメイシ」や便や尿を優しく促進させる「十薬」、整腸作用のある「ゲンノショウコ」を使います。本草閣ではこれらの薬草茶は農薬不使用ですので安心してお飲みいただけます。漢方薬ではお腹を温め腸を潤して便を促す処方を、また痔には、「紫根(ムラサキ科の植物)」の配合された漢方の軟膏でステロイド不使用のものを使うことがあります。

体温が高くなり喉が渇く(口渇)・体が火照る不快感のを何とかしたい

体温が高くなり喉が渇く(口渇)・体が火照る不快感のを何とかしたい

妊娠は、つわり、食事の好みの変化など胃腸に大きく影響を及ぼします。 妊娠時に影響を受ける臓器は胃だけではありません。 胃を含め、腎など他の臓器のバランスも非妊娠時と異なるため、水を嫌う胃や水分代謝のバランスを整える腎の働きも変化するため、隠虚(水分不足)や浮腫になりやすくなります。

また、体温が高くなるため喉が渇いたり、熱がこもるために体の内側に熱を生じる事となります。

この様な隠虚の場合は、むやみに水分を摂取すると、体が冷えたり、胃に水が溜まり胃に元気がなくなります。 この様な場合、必要な水分だけを補う漢方処方が必要です。 また必要に応じて冷えない程度に体の内側の不必要な熱を冷ましたり、胃に溜まった余分な水分を逃したりします。

顔や足のむくみ

体温が高くなり喉が渇く(口渇)・体が火照る不快感のを何とかしたい

妊娠は、つわり、食事の好みの変化など胃腸に大きく影響を及ぼします。 妊娠時に影響を受ける臓器は胃だけではありません。 胃を含め、腎など他の臓器のバランスも非妊娠時と異なるため、水を嫌う胃や水分代謝のバランスを整える腎の働きも変化するため、隠虚(水分不足)や浮腫(むくみ)になりやすくなります。

突然の眩暈(めまい)や耳鳴り、目のかすみを改善したい

突然の目眩(めまい)や耳鳴り、目のかすみを改善したい

妊娠中期から後期にかけて、眩暈・耳鳴り・目のかすみを訴える方が居られます。 これは、気血水すべてが胎児を養うために使用されるため、やる気の気と、血液を循環させる肝と、水分を循環代謝させる腎に元気がなくなり、またつわり等で胃腸が弱ることで起こると考えます。 この場合は、気や血を補い、水を代謝させ胃腸を元気にする漢方処方が功を奏します。

貧血・息切れ

貧血・息切れ

妊娠により、母体は大きく変化します。
よくある症状の1つに、貧血があります。胎児を養うために栄養を送りますので、母体に血が不足します。 漢方では、それを血虚と呼び、貧血・眩暈・立ちくらみはその血虚の症状です。

漢方では、「当帰」という生薬があり、これには、体を温め、良い血を増やし、血液循環を良くする役割があります。 女性の為の生薬と言っても過言でない生薬で、産前産後の薬以外にも冷え性改善や月経困難症など多岐に用いられています。 この当帰を用いた処方で諸所の血虚症状を改善していきます。

その他、少し動いただけでも息切れがしてしまう体力の低下した方には、元気をつける「朝鮮人参」が配合された漢方薬を使います。身体が火照り、息切れする方には、余分な熱を冷ます「黄連(キンポウゲ科の植物)」が配合された漢方薬を使います。

お腹の張り

授乳をやめたのに、なかなか生理が来ない

子宮は筋肉でできていますので、何らかの刺激で筋肉が緊張し、お腹が張ることがあります。ほかにも腸の蠕動や、皮膚のつっぱり感もお腹の張りとして感じることがあります。筋肉の緊張を緩める「芍薬」や、温めて気の巡りをよくする「桂皮(シナモン)」などが入った漢方薬を使います。

妊娠中は多くの人が経験する尿漏れを漢方で改善

授乳をやめたのに、なかなか生理が来ない

実は、産前の尿漏れ経験者は数多くいらっしゃいます。
およそ7割の妊婦さんが経験しておりその内の6割の人が週に2~3回以上という頻度で経験するとの、ユニチャーム(株)のアンケート結果が出ています。 また、お腹が大きくなるにつれて尿漏れも増えていきます。

理由として、骨盤内で子宮と膀胱は近くにあり、赤ちゃんが大きくなるに従い、膀胱に負担がかかってくることが考えられます。 つまり、赤ちゃんが入っている子宮は膀胱の上にあるため、子宮の重みで膀胱に圧力がかかり、その力が尿道をふさごうとする力に勝ってしまって尿もれがおこるのです。また、骨盤中の臓器を持ち上げている筋肉やその周辺の筋肉や筋が柔らかくなる事も1つの原因です。

健康な場合は、骨盤底が内臓をしっかり支えているので、腹圧がかかっても内臓が下に下がらないように骨盤隔膜(骨盤腔の中ほどで骨盤臓器を下から持ち上げる強くて丈夫な骨格筋の事)が絞まったり、尿もれをおこさないように尿道括約筋などの働きで尿道を絞めてくれます。しかし、妊娠によりこれら支持組織が柔らかくなることで尿漏れとなるのです。

漢方学的には、本来、脾虚(胃腸が弱い)のために、臓器を定位置にとどめる力が少なくなったもので、横紋筋や平滑筋の緊張低下による症状と考えられます。 そこで、漢方処方では、下へ落ちた筋肉を補う「中気下陥」と言った処方があります。この中に含まれる生薬の組み合わせが緩んだ筋肉を上へ上げる為、尿失禁は勿論、子宮脱、脱腸などの症状にも使用されます。 また、この漢方処方は、胃腸を元気にし、気力を補う処方でもある為、倦怠感や食欲不振、やる気の減少の改善にも効果を出します。

お腹の痛み

お腹の痛み

原因は、冷え・(血虚)血の不足・(気虚)元気の不足・(気滞)気の循環不足による痛みが考えられます。 冷えの場合は血の循環が上手くいかなくなり起こるもので、温める漢方を用います。 血虚や気虚、気滞の場合は、胎児が気や血などを必要とする為、母体にそれらが不足し起こると考えます。血を増やし痛みを止める漢方を用い、気を循環させ増やすと同時に血を循環させる漢方を用います。

足の攣り

お腹の痛み

特に妊娠後期中に、ふくらはぎや足の筋肉が夜間や睡眠中に痛む事があります。
筋肉や筋は血を沢山必要としており、妊娠中はその血が胎児に使用されるために血が不足します。そこで、血を補い、筋肉を緩める漢方薬がよく効きます。 また、冷えが原因の場合は足や体を温めることで改善します。

情緒不安定・不眠

情緒不安定・不眠

妊娠すると、ホルモンのバランスが変化する為に、情緒不安定となります。 些細なことで悲しくなったり、いらいらしたり、うつ状態となったり、驚きやすくなったり、不眠になったり、変な夢をみたりと、情緒が敏感または不安定になります。

漢方では、血や水分などの栄養が胎児を養うために使われるために、それらが不足すると考えます。 その為、血の循環や水分代謝が変化し、体内の熱バランスも変化したためにこれらの症状が起こると考えます。

このよう場合、肝を落ち着かせることで情緒を安定させ気持ちを穏やかにする方法をとります。 といっても、西洋薬の様に症状を抑える作用ではなく、漢方ではバランスの崩れた肝の作用を正常に戻す事で精神の安定を図ります。 また、これらの情緒変化や不眠と共に、口の乾きと共に舌が赤くなったり苔が黄色くなったり時は、必要な水分を補う生薬で熱症状を改善します。

とても不安な気持ちになる不正出血・切迫早産。流産を防止するには。

とても不安な気持ちになる不正出血・切迫早産。流産を防止するには。

腹痛と不正出血と切迫早産(流産防止)は密接な関係があります。
妊娠腹痛が持続して腰がだるい・不正出血や下腹部の違和感・腰の倦怠感などの症状が生じると、切迫早産に繋がる可能性があります。妊娠腹痛と不正出血は切迫早産の軽症であり、切迫早産は妊娠腹痛や不正出血の重症と考えます。

持続的な不正出血の原因は、腹痛同様、気虚・血虚・腎虚・熱が考えられます。漢方薬には、気を増やし、血を増やし、体を温め、水の代謝や循環を良くする「安胎薬」という薬があり、この処方がかなり功を奏します。

  • 気虚(元気の不足) もともと虚弱体質や胃腸が弱いなどで胎児を留めておく力が少なくなっているために起こると考えるため、「気(元気)」を増やし胃腸を健康にし、胎児を元気に留めておく漢方を用います。
  • 血虚(血の不足) もともとの体質や、つわりにより胃腸が弱り栄養が作られないことで血が不足し胎児へ十分に養えないことで起こります。 安胎剤やそれに加え、血を増やし、血を止める漢方薬を用います。
  • 腎虚(腎の不足) 子供を宿し妊娠を継続し元気を保つ働きをする腎が弱っている為に胎児を宿しておく力が弱っている為に起こると考えます。 もともと腎が弱かったり、妊娠により腎がさらに弱ってしまったり、頻繁な流産経験などで腎が弱る事で起こると考えます。安胎剤や、それに加えて腎を強くする事で気を増やし妊娠を継続出来る漢方を用います。
  • 妊娠により熱のバランスが変化する為に起こると考えますので、熱を冷ます水分を増やしたり不必要な熱を取る漢方や安胎剤で改善をします。

習慣性早産・早産を繰り返す

習慣性早産・早産になりやすい

習慣性早産とは3回以上流産や早産を繰り返すものを言います。 妊娠は、体の様々な部分が変化しますが、漢方では特に、腎・胃腸・気血水・寒(冷え)熱に影響を及ぼすと考えられます。 予防として、母体に原因のある場合は根本的に体質を改善する事が大切と成ります。漢方はもちろん、性交を慎み、情緒不安定やストレスを避けることも大切です。

子供を宿し妊娠を継続するのに必要な腎の力が弱くなると、流産や早産になります。
腰や膝など下半身がだるく、眩暈、耳鳴り、頻尿、尿失禁などの症状が出ることもあります。この場合は、腎を強くし、胎児を守る漢方が用いられます。

また、食べ物からのエネルギーを吸収する胃腸が弱ると気血水の栄養を胎児に送ることが出来なくなります。 食欲不振、下痢状便、顔が黄色く浮腫むなどの症状が出ることがあります。 胃腸を元気にし、胎児を守り、元気をつける漢方を用います。

水が不足し、熱が篭り顔のほてり、口の渇き、冷たいものを好む、などの症状があるときは、水を増やして熱をとり、胎児を守る漢方を用います。

冷えによる場合は、子宮に冷えが溜まってしまい、胎児が暖められなくなりかつ栄養を与えられなくなるため起こると考えます。 下腹部や下半身の冷えによる痛みや、暖かいものを好んだりする傾向があります。 体を心から暖め、気を増やし、余分な水を代謝させる安胎薬が選択されます。

逆子

逆子

逆子の場合、難産になることが予想されますので、出来るだけ改善したほうが良いです。 多くの病院では決まった時期までに戻らなかった場合、帝王切開となります。

漢方では、逆子は気・血・胃腸・冷えが原因であると考えます。

情緒が不安定になると、本来うまく循環しているはずの気と血の動きが止まってしまいます。 顔色が悪く、腹や胸が張るなどの症状が現れることがあり、この場合は、気を循環させ血を増やすことで逆子を直す漢方を用います。

胃腸が弱ると、胃腸の水が上手く流れずに、体や足の倦怠感、無気力、浮腫の症状が現れる事があります。 胃腸を元気にし、不必要な水を代謝させ、血を増やす事で逆子を改善します。

また、気と血が不足している場合もあり、舌や唇の赤みがなかったり、疲労感や息切れのある時は、気と血を共に増やす漢方を用います。

冷えが関係する場合は、体を温め、気を循環させ、血を増やし、水を代謝させる漢方が功を奏します。

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