本草閣クリニック > 根治を目指す治療と症例・実績 > がん(癌)と漢方 がん(癌)と漢方
本草閣の基本的な考え方
本草閣クリニックの、がん(癌)との向き合い方
本草閣は長年、多くのがん患者さんを診てきました。
- 初期の方から末期の方
- 若い方や年配の方
- 宣告されて間もない方や様々な治療や薬を模索している方
- 抗がん剤治療で効果のあった方や効果の無かった方
- 再発をしていない方や再発した方
- 様々な理由で治療を受けられない方
- 合う薬が無いと言われた方
- 治療方法を迷っている方
- 家族と一緒に向き合っていく方
- 御ひとりで抱え誰にも相談出来ない方
- 家族が病気をご存知の方やお話されていない方
- 家族とご自身のがんに対する考え方が違う方
- 最先端のがん治療を率先して受けている方
- 治療より家族の元で残された時間をゆっくりと過ごしたい方
- 手術や抗がん剤や放射線治療よりも家族の元で時間を過ごしたい方
がんは同じ病気でも、患者さんの状況や希望は様々です。 多くの病院では決まった治療方針があり、個人に合わせた治療は難しいのが現状です。
本草閣では患者さんの意思を一番に考えます。 患者さんやご家族の気持ちを大切にし、よく話を聞いて、その方に合った漢方薬治療を提案します。
あなたの考えや悩み、状況をお聞かせください。 西洋医学と東洋医学の良いところを取り入れ、あなたに合った治療法を一緒に考えていきます。
がん治療の段階と東洋医学(漢方)の役割
-
1 治療前
東洋医学(漢方)の役割
ガン治療による体力や抵抗力の低下など副作用を防止する -
2 がん細胞を直接攻撃
西洋医学の役割
外科的手術・化学療法・放射線治療東洋医学(漢方)の役割
病院でのガン治療の効果を高める(抗癌剤の効能を増進する)
ガンと闘う力(免疫力)や自然治癒力(傷んだ細胞を修復する力)を高める体力、気力を養うとす漢後して治療をやり切る力をつける漢方の積極的なガン治療 -
3 がんの各症状・治療に伴う副作用
東洋医学(漢方)の役割
病院でのがん治療中の副作用軽減 ガンによって起こる各症状を和らげる -
4 術後の体力低下・機能障害
東洋医学(漢方)の役割
スムーズな回復を手助けする -
5 再発の可能性
東洋医学(漢方)の役割
再発を防止できる体作り -
6 末期
東洋医学(漢方)の役割
がん(癌)とうまく付き合い、生活の質を保ったまま出来る限り長生きする
1がんと闘う力・がんを増やさない力(免疫力)を付ける
生命の基本である「食事」「睡眠」「代謝」を整える
がんと闘う力やがんを増やさない力(免疫力)を高めるには、「適度な血液」「適度な気力」「適度な体力」が必要不可欠です。そして、それらを生み出すのが、生命の基本である「食欲」「睡眠」「代謝(排便・排尿・汗など)」なのです。
このような症状はありませんか?
- 食事を残すようになった
- 体重が減ってきた
- 不眠が続いている
- 日中に眠気がある
- 排便・排尿・発汗が減った
夜はよく眠り、日中は活動的で、適度な食事がとれ、排便・排尿・発汗などの代謝がしっかりとできていることが、健康な体を維持するために重要なのです。
手術や抗がん剤、放射線療法などの西洋医学的ながん治療は、がん細胞にダメージを与えることで効果を発揮しますが、同時に正常な細胞や組織にもダメージを及ぼします。その結果、食欲不振、体力低下、気力低下、免疫力低下、血液減少(白血球減少・貧血・血小板減少)などの症状が現れるのです。
つまり、西洋医学は「攻撃」することに長けていますが、体力や免疫力を高めるという「守り」の面では不十分なのが現状です。また、西洋医学的ながん治療を受けていない場合でも、がんの進行に伴って食欲不振、体力低下、気力低下などの症状が現れます。
そこで、がんと闘う力、がんを増やさない力が必要となるのです。
漢方薬は、「適度な血液」「適度な気力」「適度な体力」を養うことを重視し、そのベースとなる「睡眠」「食欲」「代謝」を整えることで、がんに負けない、がんと闘う免疫力を高めていきます。
2病院のがん治療の効果を高める
抗がん剤等との併用
現在、3人に1人ががんになる時代。
西洋医学の手術、抗がん剤、放射線療法以外に、何か出来ることはないでしょうか。
西洋医学は、手術でがんを切除したり、抗がん剤や放射線でがん細胞を直接攻撃します。治療法はガイドラインに沿って進められ、多くの方が健康を取り戻しています。
しかし、抗がん剤や放射線は正常な細胞にもダメージを与え、副作用が出ることがあります。また、がんが縮小しても体力が衰え、感染症で亡くなることもあります。
そこで本草閣では「抗がん剤と漢方薬の併用」いわゆる
「西洋医学と東洋医学の融合」をおすすめしております。
西洋医学と東洋医学を組み合わせることで、お互いの長所を生かし、短所を補い合う相乗効果が期待できます。がん治療では、病変が消失しても、患者さんの症状が改善されなければ真の治癒とは言えません。
漢方治療は、西洋医学と併用することで、がん治療の効果を高め、副作用を和らげ、患者さんのQOL(生活の質)を維持・向上させる役割を担っています。
本草閣では、発病の経緯、がんの種類、部位、ステージ(進行度)、障害度、患者さんの体調、体質に合わせて、患者さんそれぞれに合った的確な漢方薬を処方いたします。
3漢方の積極的がん治療
「実邪」と闘う治療法
上記の通り漢方薬のがん治療は基本的に免疫力を高める事を目的としますが、一方でがん細胞を「実邪」として考え積極的に戦う方法もあります。
がんをやまいだれ(疒)と口三つと山と書く様に、食生活や生活習慣やストレス、環境変化等が原因と考えられてきましたので、東洋医学では、がんは人体内を流れる気・血・水の流れの悪化などにより生じたもの(実邪)と考えます。
人により「実邪」の原因は様々ですので、それを突き止め対応する漢方薬が処方されます。
主な実邪(発病因子)の原因と対応する漢方薬
主な実邪(発病因子)の原因 | 対応する漢方薬 |
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気滞(生理機能や情緒活動の停滞) | 気を巡らせる |
瘀血(おけつ:血行不良) | 血の巡りを良くし、古い血を体外へ出し良い血を増やす |
痰湿(体に余分な水分が 溜まっている状態) |
不要な水分を体外へ出し必要な水に変えて巡らせる |
毒熱(発熱系の病毒素) | 不要な熱を取り必要な部位に適切な温を加える |
4病院でのがん治療中の副作用軽減
副作用について
抗がん剤の特徴は、がん細胞のように速く増殖する細胞を殺すことにありますが、正常な細胞にも増殖の速いものがあります。その正常細胞にも抗がん剤の影響が出てしまうため、それが副作用として現れます。
細胞分裂の盛んな細胞は、髪・爪・皮膚・粘膜・骨髄(血液を作るところ)などであり、がん細胞はここを攻撃してきます。
放射線治療の影響を受けやすい臓器と症状(拡張版)
特に影響の受けやすい臓器 | 症状 |
---|---|
骨髄 (赤血球、白血球、血小板などの血液成分をつくる血球細胞) |
白血球や血小板の減少 貧血 |
消化管 (口、口腔、食道、胃および腸)の粘膜 |
食欲不振や悪心、嘔吐、下痢、 便秘など胃腸機能の低下 口内炎 |
生殖器 (卵巣や睾丸) |
ホルモンの変化や生殖能力の減退 |
毛根 | 脱毛 |
その他の臓器 (皮膚、心臓、腎臓、膀胱、肺、神経系) |
皮膚障害(発赤、掻痒など)、体力や免疫力の低下、肝障害、疼痛、 嘔吐、倦怠感、精神不安、褥瘡、手足の痺れなど |
上記副作用など、患者さんにとって様々な苦痛が出てくる事が多いのが現状です。
漢方を併用することよりがんと戦う体力を付け、また各種副作用の症状に対応した漢方薬を処方し病院でのがん治療をサポートします。なお、体調は日々変動いたしますのでその時々のお身体の状態に合わせて漢方薬を処方致します。
主な副作用① 血液減少(白血球減少・貧血・血小板減少)
抗がん剤や放射線治療は効果的ですが、がん細胞だけでなく正常な血を作る骨髄にもダメージを与えます。 骨髄では、血液の成分である白血球・赤血球・血小板を作っています。 白血球は、細菌、真菌(かび)、ウイルスなどの病原菌と戦い、体を守る働きをしていおり、それが低下してしまうと身体の抵抗力が低下して細菌やウイルスが繁殖しやすくなり感染症が発症します。
赤血球は、酸素や栄養の供給を体全体にしますので、これが減ると各臓器に元気が無くなります。 血小板は、血管が損傷した時に集合してその傷口をふさぎ止血作用を持つ為、ここが損傷されると皮膚・腔内・腸など様々な部位から血が止まらなくなります。
血液減少の他、抗がん剤の副作用として免疫低下、脱毛、皮膚疾患、口内炎、消化管症状などが起こります。
抗がん治療によって失った「血」を補う事、止血作用や、気力を付け、免疫力を増す事は漢方の出来る事の大きな1つです。 血を増やす「補血薬」は漢方では多く存在し、その補血剤を構成する生薬それぞれに特徴があります。 当帰は良い血を増やす、川芎は血を循環させる、芍薬は筋肉のひきつけを和らげる、地黄は良い血液を増やし潤いを持たせる働きなどがあります。 また、止血効果のある艾葉や阿膠、補気薬である人参等を巧みに組み合わせる事で、個々の症状と体質に合わせた「質の良い血液」、「十分な気力」、「十分な体力」を作り上げることにより、がんに打ち勝つ免疫力をつける事となります。 これは、漢方専門家の経験と知識により更なる相乗効果を産み出す事となります。
また、漢方では「胃腸は血の原料を吸収するところである」という考え方があります。
食欲がない・痩せてきた方などは、胃腸を手助けする漢方によって胃腸を元気にし、食欲を出す事で血を増やす事もあります。
主な副作用② 食欲の低下、吐き気
がん治療で必要なものは、「質の良い血液」「十分な気力」「十分な体力」です。 これらは、「食欲」「睡眠」「代謝」を整える事で充実していき、がんに打ち勝つ「免疫力」に繋がります。
私たちは食事から栄養を採る事でそれが気力や血液等となるため、食欲は人をつくる上で大変重要なものです。
抗がん剤や放射線治療はがん細胞にダメージを与えてくれますが、消化管などの細胞分裂の盛んな組織にもダメージを与えます。 その結果、食欲を失い、吐き気を催すなど副作用が現れます。 それらの副作用によって食事が摂れなくなり、消化管の消化吸収が悪くなることで、血液、気力、体力の低下を起こしがんに打ち勝つ力が無くなってしまいます。
また、治療中は正常細胞のダメージ回復の為に通常よりも多くの栄養とエネルギーを必要とする為、本来なら多くの栄養が必要にも関わらず、吸収や食欲低下が起こる事で体力低下、気力低下に拍車をかけてしまいます。
抗がん剤使用の直後は特に吐き気が強く、個人差もありますが1~2日程は食事が取れなくなる事があります。この際、無理に食べる事はせず安静になさって下さい。 抗がん剤使用後3~4日程すると徐々に食欲が出てきます。
漢方は食欲の維持回復と食べる力をサポートします。また漢方薬自体も身体の栄養となります。 気力の低下の原因である気虚を治し、胃腸の働きを上げる事で消化吸収を良くして食欲を高め、気力・体力をつけて身体を元気にし、エネルギーの衰えた状態を改善し免疫系の作用を高めます。
具体的には・・・
胃腸の働きを良くし、吸収を上げます。
食べる量が変わらなくても吸収を上げる事で身体の回復が早くなり、食べられない期間が短くなります。また、次回のクールまでの気力・体力の回復が見込めます。
滋養強壮の効果がある生薬
人参などの生薬は、滋養強壮の効果があり体に気をつけるだけでなく気力も付け食欲を回復させる為、がん治療には欠かせません。
吐き気の残る方
半夏や生姜が胃の痞えや吐き気に対して効果があります。また食欲や免疫を上げる作用のある生薬により結果的に吐き気を減らしていきます。
胃腸が弱っている方
胃に停滞した水をさばく茯苓や白朮なども含め、生薬の組み合わせによって総合的に胃腸の働きを上げます。
変わりゆく個々の状態に応じ、その時々に合わせこれら生薬を組み合わせる事で、その方の症状を緩和・改善していきます。
漢方では、「食欲」「睡眠」「代謝」を整え、治療で消耗された「気力」「血液」「体力」を補い、がんと闘う免疫力を手助けするのです。これら3つは相互に関係しあっておりそれぞれが相乗効果を引き起こします。
5がんによって起こる各症状を和らげる
① 痛み
-
漢方薬の痛みに対する役割は、4つあります。
- 体の冷え・お腹の張りや引き攣れ・便秘・血行不良や貧血などによる痛み
- 西洋薬の痛み止め同様の効果を出す・西洋薬の痛み止めの量を減らす
- 痛み自体を和らげる
- 体調を良くする事で痛みを軽減する
痛みには、様々な種類があります。 炎症が起きて痛いのか、体が冷えて痛いのか、お腹が張り痛みが出るのか、便が出ずに痛いのか、腸が引き攣れて痛みがあるのか、瘀血により痛みが増すのか、貧血により痛みが増すのか・・・個々により様々です。
西洋薬の痛み止めは、炎症による痛みに非常に効果がありますが、痛みの種類によっては、漢方薬の方が効果のある事があります。漢方薬での痛み止は、冷え・お腹の張りや引き攣れ・便秘・血行不良・貧血などが原因の痛みに非常に効果的です。冷えには附子などの温める生薬を、瘀血には桃仁・牡丹皮などの古い血を出す生薬を、お腹の張りや引き攣れには芍薬や枳実や甘草等を、貧血には良い血を増やす当帰などの生薬を、便秘には、大黄などの生薬を個々の状態に合わせ組み合わせ漢方が選択されます。
また、西洋薬の補助をする役割も併せ持ちます。
- 病院の痛み止め(麻薬や鎮痛剤)の効果をより引き出す
- 病院の痛み止め(麻薬や鎮痛剤)の量を減らす
がんそのものや抗がん治療により、抵抗力が下がったり、血が不足したり、血流が悪くなったり、体自体に冷えが起こったりしています。血は栄養や薬剤を体に運ぶ役割をしていますので、血が少なかったり血が巡っていなかったり、冷えがあると病院の痛みを和らげるための麻薬や痛み止がその部位まで届きにくくなります。漢方では、血を増やし巡らせ温めることによりその麻薬や痛み止だけでなく、抗がん剤も効果を底上げし、その結果薬の量を減らす事が可能です。
また、体調が良くなる事で結果的に痛みを軽減する事は可能です。食欲・睡眠・代謝を整え、乏しい血液・気力・体力を補う事により、総合的にみて免疫力や体調が戻る事で痛み自体も軽減されます。
また、痛み自体に効くとされる漢方もあります。
がんとその周りの痛みを和らげる効果のある代表的生薬は芍薬・枳実・甘草です。
様々な文獻でその効果が確認出来ます。
② 浮腫・腹水・胸水
漢方薬は長年の臨床経験から生まれた治療法で、様々な症状に対応できる処方があります。特に、西洋医学では改善が難しい浮腫・腹水・胸水に対して、漢方は効果的な場合が多いです。
西洋医学では、がん性腹水や胸水は、がん細胞が引き起こす炎症により、血管から水分が漏れ出して胸やお腹に溜まる状態と考えられています。これにより、様々な問題が起こります:
- 腹水が溜まると、胃腸や腎臓、肺が圧迫され、食欲不振や腎機能低下が起こります。
- 横隔膜が押し上げられ、肺や心臓が圧迫されて、横になれず座ったまま眠らざるを得ない状況になることもあります。
- 胸水の場合、動悸や息苦しさ、血圧の不安定さなどの症状が現れます。
西洋医学での腹水治療は主に以下の方法があります:
- 初期段階:利尿剤やアルブミン製剤を使用
- 進行段階:腹水穿刺(せんし)を実施
これらの方法は一時的に効果がありますが、根本的な原因を解決するものではありません。特に腹水穿刺は、栄養素の大量排出や急激な体力低下を引き起こす可能性があります。
一方、漢方では浮腫や腹水、胸水を心臓・肺・腎臓の機能低下によるものと考えます。漢方治療の目的は:
- 肝臓・心臓・肺・脾臓・腎臓の機能を整える
- 自然な水分代謝を促進する
- 体内の水分バランスを正常に保つ
漢方には利水剤と呼ばれる利尿効果のある生薬があります。これらは単に水を排出するだけでなく、体内の水分バランスを整えます。代表的な利水剤には茯苓、白朮、猪苓、沢瀉、木通、車前子、薏苡仁などがあり、それぞれ特徴や得意とする臓器が異なります。
漢方治療では、これらの生薬を個々の症状に合わせて組み合わせ、適切な水分代謝を促します。同時に、弱った臓器の機能を改善し、体全体の代謝を促進します。
漢方治療を続けることで、腎臓機能が改善し、腹水や胸水が減少することがあります。症状が改善すると、日常生活が楽になり、食事も楽しめるようになり、生きる希望につながります。
また、古くから伝わる民間療法も効果があるとされています。
③ 息苦しさ・倦怠感・動悸
息苦しさ、倦怠感、動悸の原因は多岐にわたります。貧血、胸水、体力低下、微熱、不眠、血圧変動など、様々な要因が考えられます。漢方治療では、これらの症状に対して、原因に応じたアプローチを行います。例えば、貧血には血を補う漢方を、胸水には水分代謝を促す漢方を使用し、体全体の状態を改善することで症状の緩和を目指します。
本草閣では、特に「牛黄」(牛の胆石)の効果に注目しています。牛黄は古くから中国医学で使用されており、現在では日本薬局方にも収載されています。その歴史は古く、紀元前の中国の薬物書「神農本草経」にまで遡ります。
牛黄には多くの薬理作用があります。血圧降下、解熱、鎮痛、強心、利胆、鎮痙、抗炎症、抗血管内凝固、低酸素性脳血管保護、動悸による不安感の鎮静などが知られています。古代中国では、高熱や痙攣の治療、精神の安定、さらには予防医学としても使用されていました。
他の古典医書では、牛黄が新陳代謝を促進し、寿命を延ばし、記憶力の改善にも効果があるとされています。現代の中国では、脳卒中や脳梗塞などの脳血管障害による意識障害の治療にも用いられています。また、末梢の赤血球数を増加させる効果も報告されており、これが認知症などの脳血管障害の改善に役立つと考えられています。
本草閣では、がんそのものや抗がん剤治療による体力低下に対して、比較的即効性のある牛黄を含む漢方を使用し、息苦しさ、倦怠感、動悸などの症状を緩和します。同時に、長期的な効果を目指して、免疫力を高め、食欲、睡眠、代謝などの生活機能を改善する漢方も併用します。
このように、即効性のある治療と長期的な体質改善を組み合わせることで、相乗効果を生み出します。 患者さん一人ひとりの状態に合わせて、最適な処方を提案しています。
④ うつ・不安・イライラ・不眠
うつや不安、イライラ、不眠になる要因は様々です。 漢方ではこれらに対して、2種の方法で改善を目指します。 情緒不安定になる日常生活の原因を改善する事と、情緒自体に対して漢方でアプローチする事です。
情緒不安定になる原因の1つとして、日常生活の変化や治療の進行度合などが考えられます。
例えば、
- 身体が思うように動かなくなった
- 食欲や気力が無くなってきた
- 治療が思うように進んでいない
- 腫瘍マーカーが下がらない
- 腫瘍が小さくならない
- 睡眠剤や抗不安剤に抵抗がある
など個々により様々です。
がんの症状が進行したり、治療がうまくいかなかったりすると、日常生活に支障が出てきます。例えば、抗がん剤の影響で体力や気力が低下し、今までできていたことができなくなることがあります。このような状況は、不安や鬱、イライラ、不眠の原因となります。
西洋医学では、これらの症状に対して抗不安薬や抗うつ薬、睡眠薬などを使用しますが、漢方医学では異なるアプローチをとります。漢方では、心と体は一体であり、五臓六腑がそれぞれ異なる感情を司っていると考えます。そのため、日常生活の改善と、感情を司る臓器のケアを同時に行うことで、症状の改善を目指します。
例えば、食欲不振で体重が減少し、それが不安の原因になっている場合、胃腸の機能を改善して食欲を増進させる漢方を使用します。不眠が続いて不安が強くなっている場合は、睡眠を促進する漢方を使います。気力が低下している場合は、それを回復させる漢方を、体力が落ちている場合は体力を増強する漢方を処方します。
つまり、個々の患者さんの状況に応じて、心と体のバランスを考慮した最適な漢方薬を選択します。これにより、不安やうつ、イライラなどの症状に対して、総合的なアプローチを行います。
また、情緒に対してアプローチする方法では、漢方学的に情緒を司る肝・心・脾・肺・腎などを整えます。
「癇の虫が悪い」などの言葉がある様に、漢方では「肝」が感情をコントロールしていると考えますので、心や肝が高ぶるとイライラするため、心・肝の高ぶりを抑えてイライラや緊張、不安などを緩和させ、精神を安定させる生薬が選択されます。
脾や肺の機能が低下する場合は、精神的に不安になる為、脾や肺を補う生薬を選択し心身の安定を図ります。
また、本来正常に巡っているはずの「気」が流れを変えたり溜まったり、感情が不安定になる場合は一部に溜まってしまった気を巡らせる事で感情を安定させる生薬が選択されます。
上記の生薬と同時に患者さんの身体の状態に合わせて、血を綺麗にする生薬を使用したり、不安や心悸亢進や恐怖に作用のある鎮静生薬を使用するなど、きめ細かく対応致します。
不安の原因をそのまま放って置かない事、体を休ませる事、気血のバランスを整える事が大切ですあり、それが免疫力の向上に繋がります。
免疫力の度合いやがんの進行度も当然視野に入れ、何をその方が今必要としているのかを総合的に判断しご処方させて頂きます。
絶えず変わりゆく体調変化に合わせた漢方をその都度ご提案致します。
⑤ 癒着
消化器系や婦人科系などをはじめ内臓系の手術の後には、手術部分で癒着を起こしやすくなります。 その癒着を予防・改善する漢方があります。
手術と癒着は切っても切れない問題であり、手術をすると言う事は体にメスを入れる事。
つまりこの時点で癒着する可能性が発生します。漢方(東洋医学)では、メスを入れた部位を含め、体を元の健康な状態に戻そうとする事を得意とします。
手術により弱った心身を立て直し、バランスを整え、不足した部分を補うことで、癒着の防止または癒着した部分を修復します。
⑥ しゃっくり
しゃっくりの原因は様々ですが、手術により体に冷えが生じた事によるものと、がんにより消化吸収機能が低下し胃の中のものが停滞する事によるものの2つに分けられます。
手術によって身体を開けると、しゃっくりが起こり易くなります。
東洋医学ではしゃっくりの原因の1つとして体の「冷え」を考えます。
漢方には「温める」生薬が多数存在。冷えた体を温めると血の巡りも良くなり、しゃっくり防止にも効果が出ます。
消化吸収の低下によるしゃっくりでは、胃を元気にし停滞したものを巡らせる作用の生薬や、消化吸収を良くする漢方を用います。
また、しゃっくりに対しての漢方の特効薬もあります。
手術後、しゃっくりが西洋薬で治らず、大学病院からの紹介でいらした患者さんがその漢方の特効薬でしゃっくりが劇的に治ることがよくあります。
6再発予防
がん克服後の転移・再発予防の重要性
がんを克服した後、最も重要な課題は転移や再発の予防です。がんは最初の病巣だけでなく、他の臓器へ転移し全身に広がる可能性があります。手術で取り除いても、再発のリスクは残ります。特に、がんが増殖しやすい体の状態では、そのリスクが高まります。
健康な人の体内でも、毎日多数のがん細胞が生まれています。しかし、健康な体であれば、免疫システムがこれらの細胞を速やかに発見し排除します。つまり、がんの発症は個人の免疫力に大きく左右されるのです。
生活習慣の改善が再発予防の鍵
がんの原因は生活習慣と密接に関連しています。再発を防ぐためには、以下のような生活習慣の改善が不可欠です:
- 規則正しい生活リズムの確立
- 十分な睡眠の確保
- バランスの取れた栄養豊富な食事
- 適切な代謝(排泄・排尿・発汗など)の促進
- 適度な運動の実践
- ストレス管理
- 禁煙
漢方による再発予防アプローチ
漢方医学は、免疫力を高め、体を健康な状態に戻すことを目指します。再発防止のための漢方薬の主な効果は:
- 「気」「血」「水」のバランスを整え、正常な循環を促進
- 新陳代謝の向上
- 免疫力の強化
- 抗酸化力(抗がん作用)の増強
漢方は、がんと闘う力を高め、がんになりにくい体質へと改善することで再発を予防します。多くの漢方処方や生薬には抗がん作用があり、その効果は様々な研究で確認されています。
個別化された漢方治療
免疫力を上げるためには、画一的な処方ではなく、個々の患者さんの状態に合わせた治療が必要です。本草閣では、患者さんの体調変化に応じて漢方薬を調整し、最適な処方を提案します。体調が改善した場合は、服用回数を減らすなど、継続的なケアを行います。
がん克服後の再発予防には、生活習慣の改善と共に、漢方による体質改善が効果的です。本草閣では、あなたの体調に合わせた最適な漢方治療を提供し、がんに負けない健康な体づくりをサポートします。