冷えと熱2016年02月18日
「冷えと熱」についてのお話です。
「漢方はどこを冷やすか・温めるかを指定できる」
私達の身体は、自然に身体を治そう!とする能力が備わっており、漢方は、それを補助する役割を持ちます。
つまり、漢方は、実にシンプルなのです。
例えば、私達は冬の寒い時期に食するものは、身体を温めるために鍋や暖かいミルクなどを自然に好みます。
夏の暑い時期には、身体を冷やすためにキンキンに冷えた冷たいビールやアイスコーヒーなどが好まれますよね。
漢方もそれと全く同じです。
身体が冷えている時には、身体を温める漢方を、
身体が熱くなっている時は、身体をクールダウンさせる漢方を飲むのです。
面白いことに、さらに漢方では、身体のどの部分を温める・冷やすのか、部分指定が出来るのです!
「風邪の引きはじめに使う漢方」
例えば、身近な例でお話しますと、
風邪の引き始めは、身体の表面がゾクゾクと寒気がしませんか?
そんな時は、その部分(身体の表面)を温める漢方があるのです。
それが、葛根湯。
葛根湯は、身体の表面を温めて汗をかかせ、自然治癒力の力で風邪を追い出す手助けをする漢方処方です。
では、風邪が悪化してしまい下痢や腹痛などになってしまった時は、この葛根湯などで効くでしょうか。
答えは、ノーです。
葛根湯などは、あくまで、風邪の引き始め。
この時期に葛根湯を飲んでしまうと逆に風邪が悪くなります。
では、どんな漢方がよいでしょうか。
そう、漢方は、本当にシンプルです。
下痢や腹痛があるという事は、そこが冷えているという事なので、その場所を温める漢方があります。
真武湯など、身体の芯(胃腸など含む)まで温める漢方処方を飲むといいと思います。
「どうして漢方によって温める部分が異なるの?」
ここで疑問が出てきますね。
では、今出てきた葛根湯や真武湯はなぜ温める部分が異なるのか・・・??
答えは、その葛根湯などの中身である構成生薬にあります。
皆さんご存知の様に、葛根湯は葛根と言う生薬だけでなく、全部で7種類の生薬で構成されています。
この7種生薬すべてに意味があり1つでも欠けてしまうと葛根湯としての意味を全くなしません。
つまり、漢方は日本人が得意とするチームで活躍する団体なのです。
そういったチームと同じように、葛根湯にもチームリーダーがいます。
それが、葛根。
この葛根が、メインとなり身体の表面を温め、汗をかかせ風邪を追い出そうとするのです。その他の生薬は、その葛根を支える役割をなします。
では、真武湯はどうでしょうか。
真武湯の構成生薬は4種類。
リーダーは、附子です。
この附子の性格である、身体の芯を温める性質を皆で支えます。
この様に、漢方では、面白いことにチームリーダーだけでなくすべての生薬は、身体を冷やすのか、温めるのかのどちらかの性格を持ちます。
(中間の「平」がありますが、ここではわかり易くする為に割愛。)
「漢方の処方には冷えと熱の見極めが大切」
今回の例は、急性症状である「風邪」を出しましたが、体質改善の漢方もこの原理と全く同じ。
「この患者さんは、身体の何処が冷えているかな?身体の何処に熱を持っているのかな??」の見極めが非常に大切です。
ここが漢方処方の一番の要と言っても言い過ぎではありません。
この診断を誤ってしまうと実に大変な事となります。
つまり、副作用が出るのです。
自分が冷えているか、熱をもっているかは細かく分析すると難しくなりますが、ここでは簡単な1つの見分け方をお伝えしたいと思います。
熱が多い人 冷えが多い人
顔色 赤い 白い
舌の苔 黄色 白苔多い
舌の色 赤い 白い
飲み物 冬でも冷たいものを好む 冬でも暖かいものを好む
冷え 顔や足に火照りがある 足が冷える
発熱 熱感が強い 悪寒が強い
月経量 早めに来て量が多い 遅れがちで少ない
尿量 遠くて量が少ない 近くて量が多い
尿色 濃い黄色が多い 無色透明が多い
便 便秘しやすい 下痢しやすい
貴方はどちらでしたか?
是非ご自身で診断してみるのも面白いと思いますよ!!